がん治療薬『オプジーボ』その効果と副作用。
『オプジーボ』は、小野薬品から販売されている、
悪性腫瘍の免疫療法に用いられる分子標的薬です。
これまで、この薬はメラノーマ治療に用いられてきました。
最近になって、新たに切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療に対しても、適応が承認されました。
この薬は、がん細胞によって抑制されていた免疫を活性化する効果があります。
免疫の活性化がもたらす弊害
がん細胞は、細胞表面に、PD-L1 と呼ばれる蛋白を発現しています。
このPD-L1 は、T 細胞に発現している PD-1 という受容体と結合します。
PD-1 は免疫を抑制する働きを持っており、がん細胞のPD-L1 とT 細胞の PD-1 が結合すると、
免疫細胞であるT 細胞の働きは弱まり、がん細胞を攻撃できなくなってしまいます。
オプジーボは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体という成分を含んでいます。
抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、T 細胞のPD-1 に結合し、PD-L1 との結合を阻害します。
その結果、抑制されていた免疫が再活性化され、がん細胞を攻撃することができるようになります。
しかし、免疫を活性化する効果が、副作用につながる危険性もあります。
これまでに重大な副作用として、間質性肺疾患、重症筋無力症などが報告されています。
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医療費もさることながら、未だ未知数な新薬
また、他の分子標的薬と同様に、この薬は非常に高価です。
患者の体重にもよりますが、一回の治療につき、100万円近い医療費が必要となります。
この薬は、すべての患者に有効であるわけではありません。
国内で行われた、非小細胞肺がん患者を対象にした治験では、
オプジーボを投与することによってがん細胞が縮小した例は、全体の19.7%でした。
しかし、メラノーマの患者を対象とした治験で、オプジーボをイピリムマブという薬と併用することにより、
メラノーマ治療に高い有効性を示したというデータもあります。
したがって、二剤併用によって、非小細胞肺がんに対する有効性が、
より高くなる可能性は十分に考えられます。